須田祥子 Viola

 

2タイトル(発売逆順) 

さらなる進化!
ジョビン、ニーノ・ロータの作品を含む意欲作

 須田祥子/ ビオラは歌う2〜星は光りぬ/ルイーザ

 報道ステーションの生中継ライブで、「星は光りぬ」を演奏した須田祥子注目の第2弾です。

 ヴィオラを歌わせたら日本屈指の実力を持ち、多種で色彩感ある音色を持つ稀有なヴィオリスト 須田祥子、今回も「うた」をテーマに掲げる一方で、ヒンデミットのソナタを収録しています。プッチーニのオペラ・アリア「私のお父さん」(ジャンニ・スキッキ)と「星は光りぬ」(トスカ)からスタートし、映画音楽「黒いオルフェ」で知られるジョビンの「ルイーザ」と、うたに由来する曲が3曲つづきます。そのあとは、ヴィオラのために書かれたオリジナル3作品で構成されており、映画音楽の名匠ニーノ・ロータの「インテルメッツォ」、シューマンの4曲からなる「おとぎの絵本」、そしてヒンデミットのヴィオラ・ソナタ(1939)がつづきます。

 ヒンデミットは生涯に3曲のヴィオラ・ソナタを作曲しており、デビューCD「ビオラは歌う」(MF25901)には、1919年に作曲された最初のヴィオラ・ソナタ へ長が収録されていましたが、このアルバムには実質第3番にあたるヴィオラ・ソナタハ調(1939)が収録されています。

 ヒンデミットは、シューマンやブラームスなどのロマン派の音楽を否定するかのように、独自の調整理論を展開し、新古典主義、あるいは新即物主義といわれる作曲技法を確立しましたが、このアルバムではシューマンにつづいてヒンデミットが置かれているのも興味深いところです。

 ヒンデミットの作風はヒトラーからはきらわれ、ドイツ人であるにもかかわらず「退廃音楽」の烙印を押されて、フルトヴェングラーの必死の擁護の甲斐なく、1938年にスイスに亡命しています(ヒンデミット事件)。亡命の翌年に完成されたこの作品は、ヴィオラの機能を大胆に生かしながら、時代の様相も反映した、まさにヒンデミットならではの密度の濃い作品となっています。

 ヒンデミットのあとは、アンコールとしてシューマンの歌曲集ミルテよりハスの花を収録しています。

 2度のレコーディングを経てさらに進化した、須田祥子の今をお聴きください。

*ヒンデミットが実際に使っていたヴィオラと弓を使用しています。

 

テレビ朝日の報道ステーションで、野外からライヴで放映されました。

 

 

「星は光りぬ」をソロで演奏。長野県木曽町、白川氷柱群 2016年1月29日


 

     須田祥子/ビオラは歌う2

     1. プッチーニ:私のお父さん~歌劇「ジャンニ・スキッキ」

     2. プッチーニ:星は光りぬ~歌劇「トスカ」

     3. ジョビン:ルイーザ

     4. ロータ:インテルメッツォ

     5. シューマン:おとぎの絵本 作品113

     6.ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ(1939)

     7. シューマン:ミルテよりハスの花

     須田祥子(ヴィオラ)

     松本 望(ピアノ)

 ■ CD:MF25902 定価 ¥2,800+税

    発売日:2016年5月25日

     録音:2015年7月6、7、8日 神奈川県立相模湖交流センター

 

須田祥子ファースト・アルバム
槇原敬之の「ビオラは歌う」を収録

 須田祥子/ ビオラは歌う

須田祥子はヴィオラを歌わせたら日本屈指の実力を持ち、多種で色彩感ある音色を持つ稀有なヴィオリストです。そのヴィオラの特色を余すところなく生かすべく、このCDはひとつのコンサートのように多彩な内容で構成されています。

 作曲家の生まれた順に配置し、出身国もヴァラエティに富んでおり、ブラームスの歌曲からスタートし、プッチーニのオペラ・アリアへとつづきます。

プログラムの中心には、ヒンデミットのヴィオラ・ソナタを据えています。ヒンデミットはヴィオラの名手で、ヴィオラの作品を数多く残していますが、ヴィオラ・ソナタは比較的初期の作品で、ロマンティックな要素を残しています。「ヴィオラを知り尽くした人の作品なので、指が並ぶように書かれていて、ストレスがない」と須田は言います。しかも、須田弾いているのは、ヒンデミットが実際に使っていたヴィオラと弓であり、このソナタを弾いていると「楽器と弓が演奏を導いてくれる」と須田は語っています。

 ピアソラの《2つの小品》は、1949年(28歳)の作品で、しかも、ピアソラが作曲した唯一のヴィオラのオリジナル作品です。おそらく、現在唯一のCDとなります。

 アルバムの最後には美しいメロディーと、優しいメッセージで日本を代表するシンガーソングライター、槇原敬之「ビオラの歌」が収録されています。

「ビオラは歌う」は、NHKテレビ「みんなのうた」で歌われた作品で、遅れてきたビオラ抜きで始めた練習。でもビオラがいないと何か調子がでない。ビオラが加わるといつものようにオーケストラは高らかに歌い出す。ビオラは他の楽器を活かし、支える役回りだったということをみなが知る。「人は他の人を支え、輝かせて、誰かの為になれる事が、とっても幸せなことだ」というメッセージを歌い上げた曲で、このCDではヴィオラとピアノで演奏されています。

 「ビオラは歌う」はこのCDのタイトルにもなっており、須田の生き方とも重なります。


 

須田祥子/ビオラは歌う

 

ブラームス 

 ①歌の調べのように 作品105-1 ②わが恋は緑 作品63-5 ③5月の夜 作品43-2

プッチーニ

 ④冷たき手を~歌劇「ラ・ボエーム」 ⑤歌に生き、恋に生き~歌劇「トスカ」

 ⑥誰も寝てはならぬ~歌劇「トゥーランドット」

ヒンデミット

 ⑦ヴィオラ・ソナタ 作品11-4

ミヨー

 ⑧ヴィオラ・ソナタ 第1番~アントレ

ピアソラ  

 ⑨2つの小品~ ⑨夜 ⑩タングアーノ

槇原敬之

 ⑪ビオラは歌う

 

須田祥子(ヴィオラ)

松本 望(ピアノ)

CD:MF25901 定価 2,800円(税込)

発売日:2014年4月22日

録音:2013年8月28、29日 神奈川県立相模湖交流センター

録音方式:DSD to finest CD


■須田祥子/Sachiko Suda

 6歳よりヴァイオリンを始め、桐朋学園大学在学中にヴィオラに転向し98年同大学を首席で卒業。これまでにヴァイオリンを室谷高廣、室内楽を名倉淑子、ヴィオラと室内楽を岡田伸夫らに師事。

 97年、第7回日本室内楽コンクール、99年、第7回多摩フレッシュ音楽コンクール、99年、第23回プレミオ・ヴィットリオ・グイ賞国際コンクール、2000年、第2回淡路島しづかホールヴィオラコンクールの全てのコンクールで第1位受賞。

 皇居内御前演奏会、トッパンホール ランチタイム コンサート、日本演奏連盟リサイタルシリーズ、FMリサイタル、B→ C、ヴィオラスペース等数多くの演奏活動や、ソリストとしても多くのオーケストラと共演している。特に、「日本の作曲家2001」及びアンサンブル金沢との共演(世界初演)など、NHK-FMでも紹介され高い評価を得た。国内の数多くのオーケストラに首席として客演している他、宮崎国際音楽祭、鎌倉芸術館ゾリスデン、サイトウ・キネン・オーケストラ等に度々出演。

 室内楽ではこれまでにチョン・ミョンフン(pf)、樫本大進、ロバート・チェン、スヴェトリン・ルセヴ(以上vn)、ルイジ・ピオヴァーノ(以上vc)等と共演。

 2015年5月の「題名のない音楽会」のヴィオラ特集に出演、また2016年1月には「報道ステーション」で白川氷柱群からヴィオラのソロ演奏が生中継された。

 2014年にファーストアルバム「ビオラは歌う」をリリース。それに伴い、全国でリサイタルを行った。

 現在、東京フィルハーモニー交響楽団首席奏者、洗足学園大学非常勤講師。